【性同一性障害は精神障害から外れる!】ICD-11への改定でなにが変わるのか

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世界保健機関(WHO)は2018年6月18日に「国際疾病分類(ICD)」の最新版を公表しました。

 

この改定により、性同一性障害は「性別不合(日本語仮訳)」という名称として、精神疾患の分類から「性の健康」のカテゴリーに移行することが決定しています。

ICD(国際疾病分類)とは?

ICD(国際疾病分類)というのは、WHO(世界保健機関)が作成する疾病分類のことで、病気や障害がアルファベットや数字を用いたコードによって表されるものです。

このコードは疾患の世界的な統計に用いられるだけでなく、生命保険・医療保険の申請の際にも、診断書等の書類において使用されることがあります。

 

実はICDが第10版から第11版に変わる今回の改定には、2013年の「精神障害の診断と統計マニュアル」の改定が大きな影響を及ぼしています。

 

「精神障害の診断と統計マニュアル」第5版(DSM-5)の変更点

DSM(精神障害の診断と統計マニュアル」はアメリカの精神医学会が作成している、精神疾患の診断基準のことです。

こちらも2013年に改定があり、要点は以下になります。

 

  • 以前から性同一性障害(gender identity disorder)の名称は問題があるとして性別不合(gender incongruence)の概念が提唱されていた。
  • 今回の改定では、性同一性障害は性別不合(日本語仮訳)という名称に変更され、障害(disorder)の文字が削除された。
  • 性別不合は「精神疾患」のカテゴリーからは外れ、新たに「性の健康に関する状態」というカテゴリーに移行した。
  • これにより性別不合は精神疾患ではなくなったが、性別不合の診断については新たに診断基準が設けられた。

参考サイト:Trans issues 新しい診断コードはトランスジェンダーに対するスティグマを減少させる

今回のICDの改定には、これらの変更点が土台として反映されました。

 

ICD第11版 改定の意味合い

この改定における意味合いというのは、

性同一性障害や性別違和(改定後は性別不合)と呼ばれる【性自認と生まれたときに割り当てられた性別との不一致】を、精神的な障害ではなく個々人のセクシュアリティの「在り方」や「状態」として位置付けたところにあります。

 

改定の目的において繰り返し出てくるのが、「医療ケアの推進」「スティグマの減少」という言葉です。

 

「医療ケアの推進」は、性別不合として社会的・精神的な困難を生じている場合において、MtF、FtMに定まらないすべてのセクシュアリティの在り方が、適切な治療を受けることができるようにという意図が解釈できます。

 

続いて「スティグマの減少」について。

スティグマというのは、差別や偏見など特定の事柄に対する偏った見方や考え方のこと。

精神疾患の分類にあることで性別不合を抱えた人たちが受けてきた差別・偏見を解消するという狙いがあるようです。

 

ただし、性別不合が症状の程度によっては治療が必要となることに変わりはなく、「障害」や「疾患」ではない「状態」としての性別不合の取り扱われ方は、今までより軽い扱いになるのではないかとの懸念もあります。

 

ぶっちゃけどんな影響があるの?

性別適合治療は今まで「性同一性障害」の診断のもとに行われてきましたが、ICD-10からICD-11の移行後には、「性別不合(日本語仮訳)」としての診断が必要となることが予想されます。

これが何に影響するかというと、現在性別適合のための治療を行っている、またはこれから行う予定である人たちの、治療の根拠となる診断名が変わってくるということです。

 

僕はちょうど移行のタイミングで胸オペをし、医療保険の需給を申請しましたが、その際はICD-10が適用されており、診断名は「性同一性障害」となりました。

 

厚生労働省の担当者は、

「将来的な影響はあるかもしれないが、保険制度や治療方法の変更などへすぐにつながるものではない」

としているようです。(引用元:WHO:性同一性障害、精神疾患の分類から外れる 毎日新聞2018年6月19日 17時13分)

ICD-10からICD-11への移行後は、現在は性別不合とされている「Gender Incongruence」の正式な和訳が、性同一性障害に変わる診断名として使用されていくことが考えられます。

 

「障害」の名称について思うこと

医療保険の申請のためにクリニックに診断書を書いてもらって、その中に「性同一性障害」の文字を見たときに、正直な話一瞬ドキッとしたんですよね。

あ―僕って性同一性障害なんだ。障害者なんだ。

って。

 

僕の場合は、性別違和・性別不合は抱えていても、

それは病気や障害ではなく、シスジェンダーの方が「自分は女性である/男性である」と思っているのと同じように、「自分はXジェンダーである」という状態を持っていると考えています。

 

「障害」であることで医療や社会福祉などの配慮を享受できるという意見も、

「障害」なんて嫌だ。セクシャリティの在り方は「個性」なんだという意見も、

LGBT、セクシュアルマイノリティの数だけ、考え方があって当然です。

 

だから一概に「障害」として扱われることがダメだとか良いとかいうことは言えないんですが、それぞれが自分自身のセクシュアリティの在り方について自由に語り、どんな在り方であろうとそれを否定されない社会であってほしいと思います。

 

言葉の定義に振り回される必要はない

今回の改定にとどまらず、今後もLGBTやセクシュアルマイノリティを取り巻く状況は、用語の定義に始まって、戸籍変更のための要件などさまざまなことが変わっていくのだろうと思います。

保険診療や治療の要件についても今後の動向が注目されます。

 

ただカテゴライズや言葉の定義の変更なんかについては、当事者がそれに振り回される必要性は無いのかなというのが僕の個人的な雑感。

REIJI
違和だろうが不合だろうがぶっちゃけどっちでもいいしね。

 

異性愛者と同性愛者が混在している世界だからノンケ・レズビアン・ゲイという言葉(区別)が生まれたんであって、好き合っている当人同士にとっては「あなたが好き」だという事実があるだけのこと。

それが同性愛か異性愛かなんてどっちでもいい話です。

 

性自認についてもおんなじ。

セクシュアルマイノリティにとってもノンケにとっても、セクシュアリティはその人の一部ではあっても、決してすべてではありません。

 

彼のスピーチにもあるように、世の中の仕組みがどう変わろうとも、僕たち自身、当事者やセクマイカップルのアイデンティティ、愛情その他何にも変わりません。

社会が自分たちをどう取り扱うか。

が変わるだけのことです。

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