同性パートナーシップ制度の疑問に答える。利用できる自治体は?どんなメリットがあるの?

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同性パートナーシップ制度とは

同性パートナーシップ制度とは、自治体や企業が同性カップルに対して独自に定めた権利や特典のことです。

 

現在日本では、同性同士の結婚が合法化されていません。

そのため法律上婚姻関係になれない同性カップルは、異性の夫婦であれば受けられるさまざまなサービスを受けられなかったり、手続き上の困難に直面することがあります。

  • 健康保険に加入する際パートナーを被扶養者にできない。
  • 連帯保証やペアローンを利用できず住宅ローンが組めない。
  • 会社にパートナーとして認められず福利厚生が利用できない。
  • 相続税の控除が認められない。

こうした不平等を是正するために、婚姻関係に相当する権利を認めることを目指すのが同性パートナーシップ制度です。

同性パートナーシップ制度のメリット

同性パートナーシップ制度を申請すると、自治体からパートナーシップ宣誓書登録証明書が発行されます。

これらの証明書を利用することで、行政や企業が提供しているサービスを利用することができます。

 

パートナーを生命保険の受取人に指定できる

REIJI
渋谷区のパートナーシップ条例制定を皮切りにして、保険業界でもLGBTsに向けた動きが広まっています。

以下の保険会社では、必要な手続きを行うことで同性のパートナーを死亡保険の受取人として指定することができます。

  • ライフネット生命
  • アクサ生命
  • aig富士生命保険
  • アスモ少額短期保険
  • 第一生命
  • 日本生命
  • アフラック
  • プルデンシャル生命
  • オリックス生命 (渋谷区のみ)
  • ジブラルタ生命
  • メットライフ生命

ただし同性パートナーは、法的な婚姻関係ではないため法定相続人になることはできません。

そのため相続時に1億6000万円までは非課税となる配偶者控除も、同性カップルの場合では受けることができません

 

携帯電話料金の家族割を利用できる

REIJI

au、NTTドコモ、ソフトバンクの大手携帯会社では、必要な条件を満たせば家族割などのサービスを利用することができます。

家族割を利用するためには、auとドコモではパートナーシップ証明書の提出が条件となっていますが、ソフトバンクでは同住所に住んでいることの証明だけで家族割を利用することができます。

そのため同性カップルだけでなく、シェアハウスの住民同士でも家族割を利用することができるようになっています。

 

さまざまな行政サービスを受けられる

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パートナーシップ制度は、民間だけでなく行政サービスにも利用することができます。
自治体 サービス
北海道札幌市
東京都渋谷区 ・区営住宅・区⺠住宅への使⽤申込が可能
・渋谷区勤労者福祉公社の会員の場合、祝い⾦や弔慰⾦の給付
・渋谷区職員互助会の「祝い⾦」の支給
東京都世田谷区 ・区営住宅への入居申込可能
(ただし、世田谷区営住宅管理条例規則の文⾔としては、パートナーシップ宣誓書を提出書類とは定義づけていない)
兵庫県宝塚市
三重県伊賀市 ・伊賀市⽴上野総合市⺠病院で家族同様の扱い
市営住宅への入居申込が可能
・伊賀市職員共済会の会員の場合、結婚祝⾦、銀婚祝⾦、弔慰⾦を給付
福岡県福岡市
沖縄県那覇市 ・市営住宅への入居申込が可能

参考・引用元:渋谷区パートナーシップ証明実態調査報告書

同性パートナーシップ制度のデメリット

法的拘束力がない

パートナーシップ制度は、導入している各自治体ごとの独自の条例もしくは要綱であり、法的拘束力がありません。

制度に反することを行ったとしても罰則規定がないのはもちろん、法律上の夫婦とは認められている権利にも差異があります。

同性カップルでの扶養控除や相続税の控除は依然適用されないままです。

 

申請自体がカミングアウトなのでハードルが高い

人によっては同性パートナーシップの申請自体に心理的なハードルの高さがあります。

カミングアウトへの抵抗があったり、そもそもカミングアウトしたくないカップルにとっては利用しづらい制度になっています。

 

利用できる自治体が限られている

現在パートナーシップ制度を利用できるのは、条例または要綱を定めている5都市2区だけです。

パートナーシップ制度は各自治体独自の取り組みであるため、それ以外の場所に移住するときには、パートナーシップを解消しなければならないというデメリットがあります。

 

同性パートナーシップ制度を取り入れている自治体と申請方法

2018年4月現在、パートナーシップ制度を導入しているのは札幌市、渋谷区、世田谷区、宝塚市、伊賀市、、福岡市、那覇市の7自治体です。

他には大阪市千葉市が今後の導入を検討しています。

 

このうち、条例としてのパートナーシップ制度は渋谷区だけです。

世田谷区はじめその他の自治体のパートナーシップ制度は、条例ではなく「要綱」としての制度です。

渋谷区のパートナーシップ条例には同性カップルであることを理由に差別的な行為を行った事業者名を公表する可能性があることが盛り込まれていますが、他の自治体ではそのような措置は行われません。

自治体 申請のための条件 申請方法
北海道札幌市 ①双方が20歳以上であること。
②市内に住所を有する、または、市内への転入を予定していること。
③双方に配偶者がいないこと及び他にパートナーシップの関係にないこと。
①宣誓する日時を事前に電話等で調整
②必要書類を揃え、予約した日時に二人で来庁
③市職員の面前で確認書と宣誓書を記入
④市から「宣誓書の写し」と「宣誓書受領証」を交付
東京都渋谷区 ①渋谷区に居住し、かつ、住民登録があること
②20歳以上であること
③配偶者がいないこと及び相手方当事者以外のパートナーがいないこと
④近親者でないこと
東京都世田谷区 ①二人とも20歳以上であること。
②二人が区内に在住であること。または、一人が区内在住で、もう一人が区内への転入を予定していること
③二人とも他の人と法律上の婚姻関係にないこと。
④二人とも他の人とパートナーシップ宣誓をしていないこと。
または、宣誓したことがある人の場合、宣誓書廃棄の手続きをしてあること。
⑤二人の関係が親子または兄弟姉妹ではないこと。
①人権・男女共同参画担当課に電話、ファクシミリ、または窓口にて申し込み。
②職員が宣誓要件に該当するかどうかを確認し、宣誓希望者と相談のうえ、日時・場所を決める。
③宣誓日時・場所等を記載した通知が区から宣誓希望者に送付される。
④区の指定する場所で宣誓を行う。宣誓書が交付される。
兵庫県宝塚市 ①双方が20歳以上であること。
②住所について次のいずれかに該当すること。
ア 双方が市内に住所を有すること。
イ 一方が市内に住所を有し、かつ、他の一方が市内への転入を予定し
ていること。
ウ 双方が市内への転入を予定していること。
③双方に配偶者がいないこと及び当事者以外の者と同性カップルでないこと。
①市職員の面前においてパートナーシップ宣誓書に自ら記入し、市長に提出する。
②宣誓する日時等について事前に市と調整する。
③宣誓書は、人権男女共同参画課において受領する。
④同性カップルの一方又は双方が宣誓書に自ら記入することができないときは、当該同性カップルの双方の立会いの下で他の者に代書も可能。
三重県伊賀市 ①双方が20歳以上であること
②双方が独身であること
③双方または一方が市内在住であり、一方が市内に住んでいない場合は市内に転入の予定であること
①事前申し込み
②予約日に申請書と書類を提出
③申請書の写しと受領証を交付
福岡県福岡市 ①双方が20歳以上であること
市内に住所を有している,又は市内への転入を予定していること
②双方に配偶者がいないこと及び他にパートナーシップの関係にないこと
③双方の関係が近親者でないこと(※ パートナーシップに基づく養子縁組は除く)
①宣誓する日時を事前に電話等で調整
②必要書類を揃え,予約した日時に二人で来庁
③市職員の面前で宣誓書を記入
④市から「宣誓書の写し」と「宣誓書受領証」を交付
沖縄県那覇市 1  互いを人生のパートナーとし、継続的に共同生活をしている、
又はそうしようと約束していること。
2  2人の戸籍上の性別が同一であること。
3  20歳以上であること。
4  住所につき、下記の①②③のいずれかに該当すること
①2人とも那覇市民であること。
②1人が那覇市民、もう1人が市内への転入を予定していること。
③2人とも市内への転入を予定していること。
5 下記の①②に該当する、1対1の関係にあること
①配偶者がいないこと。
②申請者以外の者とのパートナーシップの関係がないこと。
①電話予約
②申請受付
③内容確認
④登録証明書の発行

参考・引用元:

パートナーシップ制度交付件数(H29年11月までの統計)

REIJI
29年11月時点で、パートナーシップ制度を利用しているカップルの数は次の通りです。
  • 札幌市  :31組
  • 渋谷区  :24組
  • 世田谷区 :56組
  • 宝塚市  :0組
  • 那覇市  :18組

参考・引用元:渋谷区パートナーシップ証明実態調査報告書

この記事を書くにあたって自治体のホームページを見て回ったのですが、どのサイトも利用方法・申し込み方法は分かりやすく掲載されていても、制度を利用することのメリットが伝わりづらいサイトがほとんどでした。

ホームページを見ただけでパートナーシップ制度を利用する気にはちょっとならないかな。

 

同性パートナーシップ制度は法的な拘束力がないため、現実として具体的な利用特典を提示できないことも背景として多分にあるでしょう。

しかし同時に、行政や自治体が非当事者となんら変わらない「生活者としてのLGBTsの姿」をうまくイメージできていないことも事実です。

 

異性カップルがどんなメリットを望んで婚姻関係を結ぶのかを考えてみれば、そこに同性カップルを支援するためのヒントも隠されているのではないでしょうか。

同性パートナーシップ制度のその先に望むこと

同性パートナーシップ制度は、いまだ同性婚が認められていない日本だからこそ制度です。

システム上の不備などから形だけの制度だとする批判もありますが、同性カップルが社会的承認すら受けることができなかった今までの状況を考えると確かな一歩ではあると思います。

制度自体よりも家族として、パートナーとして社会的に認められるようになってきたことの意義は大きい。

 

ただ宝塚市のように制定以降1組もパートナーシップの申請が行われていない自治体もあります。

これは宝塚市に同性カップルが1組もないということではなく、パートナーシップに申請するほどのメリットを制度の中に感じられないということでしょう。

制度を作るだけでは不十分で、重要なことは制度の「その先」です。

 

LGBTsにとって生きやすい社会を作るということは、独身者、既婚者、同性カップル、異性カップルなどすべての人が平等に扱われる社会を作るということ。

そのことにもっと目を向けてほしいと思います。

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